それは、低所得者が還付や負担軽減、年金加算を受けたい場合には、自らの資産を「自己申告させる」という方法である。
具体的には、再分配を受ける際に、「税務署が、全銀行に照会をかけ、本人・家族の預金口座を見ることができることに同意する」という一筆を書かせるだけでよい。
もちろん、全ての申告者に対して銀行照会をかけることは事務的に無理であろうが、例えば10人に一人を徹底的に調べることにするだけでも、十分であろう。
ポイントは、この制度のもとでは、自営業や農林水産業、高齢者の中にいる「ニセ弱者」が、自己申告して来ないということである。もし、資産を税務当局に把握されれば、今までの所得ごまかしがばれて、少なくとも時効が成立していない5年分を追徴課税されることになる。悪質な場合は、刑事罰もあり得る。
そのようなリスクを冒してまで、ニセ弱者が低所得者である申請を行うとは思えないから、実際に申請するのは、「真の低所得者」だけである。もちろん、低所得者への情報の周知徹底や、低所得者が辱めを受けない申告方法などの工夫が必要であるが、この自己申告制は検討に値するのではないか。
経済学では、情報の非対称性の問題を解決するために、「シグナリング」という自己申告方法が提案されているが、まさにその応用である。
